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テンカカ・カカイルをメインに扱う二次創作小説サイトです。18歳未満・高校生の閲覧はご遠慮ください。
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テンカカカカイルをメインとしていますが
CP無節操のため要注意です

個人的にアオバきてる(ボソッ


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ほんの少し作品が増えたので、わかりにくいサイトに案内をつけようかと思います。



text CPになりきらないような健全話など、七班ネタを中心に置けたらと考えています

tnkk 変態木遁へたれ後輩忍者×被虐趣味有な先輩コピー忍者です。エログロ健全混ざってます

changeling tnkkです。少し特殊な内容かも…長編になる予定のためタグを分けました

kkir 尻に敷かれる里一番の業師×漢気溢れるツンデレ受付中忍 まだ未開拓です

こんな感じです。
tnkkとkkirのカカシさんはそれぞれ別人と思っていただければ幸いでございます。

そのうち、kkkkやymao、ymirなど増えてくるかと思われます。その際にはまたこちらに記載します。

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現代パロディです。交わることのない二人に注意してください

山本大和君と畑カカシさん


distance




国立木の葉大学森林環境学部一回生、山本大和の朝は早い。
日が昇る前、彼は町の誰よりも早く働き始める。
配達分はすべて積んだ。指差し確認をして、準備O.K―いつも通り慣れた動きでバイクに跨り、捻る。

木枯らしが吹き始めるこの時期はまだ涼しい、という感覚で済むが、冬になるとバイクはつらい。
どれだけ服を重ねても、シャツの裾をズボンに入れても、隙間という隙間から風は入り込んでくる。そんな寒さだが、大和は冬は嫌いではなかった。
(もう少し、冷えてもいいかな)
頬を切るような、冷たい風。あと少しでそんな季節が来る。どことなく待ち遠しい。

そうして大和は自動二輪を走らせていく。一軒一軒、ひとつひとつ投函してゆく。
朝、まもなく日が昇ろうかという頃新聞を配り終えると、大和は自宅…といっても下宿先だが、自らを迎え入れる小さな城へと戻る。
部屋の観葉植物に水をやり、身支度、それから簡単な朝餉。そして勉学へと向かうのだった。





言わずと知れた国内最権威、猿飛賞受賞作家、畑カカシの生活は昼夜逆転から始まる。
夜半、カカシは少しも進まぬ筆を置き、仕方なく眠りにつく。この時間ではベッドも冷え切っている。
冷え性であるカカシには、これからの季節は長くつらいものだ。
(そろそろ炬燵出したほうがいいかな…)
ぼんやりと思考の狭間、様々な考え事に頭を巡らせる。
期待されているこの作品も、あと少しで完成するはずだったのに。登場人物たちは糸の切れた操り人形のごとく、ぷつりと動かなくなってしまった。
操っているのはカカシだ。動かさなければ作品は、人物は死んでしまう。

ごろり、寝返りを打つ。寒くて、思考がまとまりきらなくて眠れない。
ベッドに入ってからもうだいぶ経つ。草木も眠る丑三つ時などとうに過ぎ、目を覚ましているのは世界で一人だけなのでは、とありえないことを考え始めたところで。
遠くから微かにバイクの唸るエンジン音が聞こえた。
(新聞配達か…こんな時間からご苦労様だねぇ。)
…としばらくして、軽快に階段を駆け上がる音が聞こえる。
ここはマンション最上階なのに、一軒一軒、投函しているのか?
(珍しいな…体力に自信があるのか、もしくは馬鹿か?下にポストあるのに)
ふと思って、クスリと笑ってしまった。

トントン、足音が近づく。ストン、トントン、トスッと、足音の合間に軽いものが落ちる音。やけにリズミカルだ。
この時間だからか、カカシの耳が元から音を拾うことに長けているせいか、よく聞こえた。普段は意識しない、他者が奏でる音を。
カカシはベッドから抜け出した。自らは音を立てないように、そっと足を進める。
その間にも顔の見えない足音は近づいてくる。ここまで、あと二軒、一軒…来た。足音はカカシの部屋の前で止まる。
ドアを挟んで向かい合っているこの瞬間、きっと相手は気付いていないだろう。
カカシは無意識のうちに息を潜めていた。覗き穴から向こうを見るなんて無粋なことはしない。

トスン…ッ

外気が新聞とともに、ドアに取り付けられた投函口から入り込む。冷たいという感覚が、相手がいる空間から流れ込んできた空気だと思うと少し和らいだ。
(なんていう感覚なんだろう、これは)
投函口が媒体となり、彼(おそらく男だろう)のいる向こう側とつながった、そんな、錯覚。

カカシは、新聞を手に取った。男が配達してくれた、新聞。一面には特に映えもしない女優のスキャンダルと政治家の裏金問題について書かれていた。
内容など、どうでも良い。勧誘が面倒なので形だけ取っている新聞。くしゃりと握り締め、じっと見る。

どれくらいそうしていただろうか。ドアの向こうにはとうに誰もいない。
ふと、カカシは顔を上げ、頭を巡らせた。
(ああ、そうだ。小説を書こう。)
どんな容姿かさえも知らぬ男の、物語を。


遠くで、バイクの音がした。





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ツイッターで広がったお話を形にさせていただきました
タイトルは考案者であるrさんに考えていただきました。ありがとうございます^^
どうでしょうか、rさん…拙いもので申し訳ないです…
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